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一言でいえば、酷い呼称。
プノンペンのトゥールスレーンと並んで、バイタク観光でセットになっているものに、「キリングフィールド」という場所がある。ポルポト派が政治犯(実際の罪状は不明)を処刑した場所で、ガラスケースに入った夥しい数の髑髏(しゃれこうべ)が展示されている。ここを訪れる目的は、これの見学に尽きるといっていい。
手元にあるロンプラ(Cambodia 5th Edition 2005年発行)では、「Killing Fields of Choeung Ek」と記されている。「Choeung Ek」は土地名だと思うが、その書き方からして、カンボジアにはいくつかの「Killing Fields 」があると推測される。
オンライン辞書で探ってみると、「Killing」は殺害が代表的な意味といっていい。他にも「おかしくてたまらない」という意味もあるが(a killing story=おかしくてたまらない話。死ぬほど可笑しいといった用法か)、この場合は当てはまらない。
「Fields」は多数の意味があるが、この場合に最も近いのは、「野,原,野原,野辺,原野」だと思う。「Killing Fields 」を翻訳にかけると戦場と出てきたが、この場で戦闘行為があった記録はないので、この場合は、「殺人広場、殺人原野」といった表現が当たる。
世界の歴史を見れば、地球上には「Killing Fields 」が溢れている。しかしその語が使われている場所は、僕が知る限りカンボジアしか知らない。欧米にはあるのだろうか。
キリングフィールドという語を前面に出して、ポルポトの狂気だの語る人は、今一度冷静になって言葉の意味を考えてみるのもどうですかね。例えば日本でいうなら、さしあたって広島原爆ドーム周辺がキリングフィールドに当てはまる。
もし外国のメディアやガイドブックなどで、「Killing Fields of Hiroshima」なんて表記されたら。それはあまりにも酷いということになるでしょう?
怒りや同情を前面に押し出しながらも、決して対象を自分とは同列には置かない。
「キリングフィールド」という言葉を気軽に使用する背景には、日本も含めた北側先進国のアジア観が見える気がする。
英訳は、「excite.辞書/翻訳」を参照しました。www.excite.co.jp/dictionary/
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