忍者ブログ
[84]  [83]  [82]  [81]  [80]  [79]  [78]  [77]  [76]  [75
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 Tシャツに巻きスカートという出で立ちからカンボジア人だったと思うが、薄化粧なのか白みと紅みが差した女主人の厳つい顔立ちは、女将というより女衒(ぜげん 「げぜん」ではありません。初めて知った)といった感じだった。欲深さが滲み出ている容貌で、この人の歩んできた人生が見て取れるような気がしたが、やはり客商売とはいえ何時もニコニコとはいかないのだろう。
 
 対する客のタイ人?の方も、置屋遊びにありがちなヘラヘラした調子は全くなく、何ていうんだろう真剣勝負に挑んでいるような雰囲気を醸していた。服装は冴えなかったが高級そうな車といい、それほど金に余裕がないようには見えなかったが、カンボジア人になめられてたまるかといったところか。
 
 しかし最も興味深かったのは、言葉は分からなかったものの、客に向けての女将による、「商品説明」だった。女将は連れてきた嬢のひとりひとりの髪を鷲摑みにし、そのままの状態で(おそらくは)女性の年齢や特徴などを説明するのだ。その間、髪を摑まれた女性達は愛想を振舞うでもなく、無表情に立っているままだった。
 
 まるで兎の耳か、猫の首根っこを摘んで上へ持ち上げているようにも見えた。まさに家畜扱いという感じで、ひょっとしたら売春婦が鶏というのは、ここから来たのではないかと思ったほどだ。いうならば女衒の娼妓に対する扱い方というか。
 
 実は漢語から来たとされる売春婦イコール鶏というのは、単純に従事者のありようから来たと思っていた。一部の経営者や用心棒などを除いて、おおむね娼館というのは女性の職場といっていい。自宅から通っている人もいたかもしれないが、大抵の場合は住み込みである。よって昼も夜も姦しく匂い立つ雰囲気が、単純に養鶏場に例えられたと思っていた(加えて住み込みといえば聞こえはいいが、囲われというか囚われの環境にあるという見方も出来る)。
 
 真相(あればの話だが)は分からないが、どちらにしても現代の尺度では、品のいい比喩ではありませんね※。


 
 やがて彼らが女性を連れ去り、クメールマラヤさんとのやり取りも間延びした感じになっていた頃、タイミングよく小太りカムリが戻って来た。彼が言うには女将に追い出されたらしい。到着早々ずけずけと店のハンモックに寝そべり、「顔」をひけらかしていたように見えた彼だが、そうでもないらしかった。
 
 そろそろ行こうという感じでカムリが提示した額は、切れのよい1500バーツだった。外国人料金がとかく切れがよいのは、タイのMP(マッサージパーラー)と似た感じか。数字の切れといえば、また昔の話で恐縮だが、一度バンコクのMPに行った時ぼられてなるものかと最小限のタイ語でやり取りを済ませキャッシャーに向かうと、1バーツ単位の細かな数字が書かれた請求書が提示されたことがある。噂に聞いていた額より安かったこともあって、これが本当の料金かと思ったものだ。

 比較するのも馬鹿な話だが、どうしても花代の基準がタイになってしまう僕としては、オールナイトで1500という数字は、たとえマージンが発生したとしても妥当な額だった。またまた昔の話になるが、90年代前半のハジャイのカラオケ置屋のカンクン(正式なタイ語は知らないが、ここではオールナイト)は、どの店も判を押したようにパンハーロイだったのを思い出した。
 
6127d982.jpeg Krong Koh Kong/Cambodia 2007
 
 熱帯アジアとはいえ、一月の夜の水シャワーはきつい。今朝のチェックインの際に部屋の綺麗さばかりに目が行ってしまい、ホットシャワーを確認しなかったのが悔やまれた。ココンは山岳地帯ではないので、温水の必要などハナっから考えていなかったが、ノズルから出る水は思いのほか冷たかった。二人で身震いしながら洗いっこし、二人で身震いしながら拭きっこするさまは、苦行の始まりといった感じだった。
 
 そして苦行というわけではないが、苦痛というか、甘くなるはずの夜が経験したこともない苦い展開になるとは思いもしなかった。
 
 まだまだ修行が足りませんね。詳細は次回へ。


※ と思っていたのですが、さらに調べてみると興味深い記事に当たりました。

『朝日新聞に莫邦富(モーバンフ)さんの面白い記事がありました。年賀状に雌鳥の絵を載せるのはまずいというのです。中国語で鶏と妓は発音が同じでジーです。それがいつのまにか「鶏」が売春婦のことになってしまったのです』(にわとり雑学博士のこけこっ考)

 事実とすれば意外と単純なことだったのですね。こちらの考えすぎだったか(2月28日追記)。

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
プロフィール
HN:
lovelylifeorhell
性別:
男性
趣味:
旅と酒と読書
自己紹介:
ここのところ私事多忙にて更新が滞っています。
忘れたわけではありませんので、まったりとお待ちください。
ブログ内検索
アクセス解析
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]