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 他のカンボジアの街と同じく、州都といえどもココンの夜の通りは暗かった。少しあとの話になるが、この旅でカンボジアからラオスに入った日の夜に小船でドンデットという島に向かったのだが、漆黒のメコンから見たドンデットの村のあまりの眩しさに度肝を抜かれた。電力に関してはラオスもカンボジアと似た感じで、一部の都市を除いて夜が明るいとは言いがたいが、河に面して色とりどりの電飾が施されたバンガローやレストランが連なるさまは、ひょっとしたらラオスで電力が一番普及しているのは、このド田舎ドンデットではないかと思ったほどだ。暗かった道中の後ゆえ感じたのかもしれないが、外貨のみならず電力まで齎したツーリズムの凄さを改めて感じたものだ。
 
「第一戦」を終え、再び身震いしながらの冷水を浴びたのち、腹が減ったと彼女が言うので夜食という運びとなった。てっきり裸電球の下でクイティオでも啜るのかと思ったが、彼女に案内された店はライトアップされたレストランバーという感じで、プール台で戯れる薹が立った白人の姿と、その年齢層に合わせたのか薹が立ったアメリカンポップスが流れる空気は、ある意味インドシナ旅行の定番ともいうべき場所だった。外国人が行き交うわりには今ひとつツーリズムの盛り上がりに欠けるココンだったが、それでも旅行者の行き場があったという感じだろうか。
 
 英語というよりクメール語が併記されたメニュー(クメール語の方は注文を取る従業員用か?)から選んだバーガーアンドチップスなんぞを喰らいながら、今日で何本目かは分からなくなったアンコールに浸る。冷静に考えると一本二~三ドルほどの瓶ビールは、他の物価に比べそれほど安いというわけではないが、熱帯アジアに来ると気候のせいもあり、とにかくビールが進んでしまう。際限のない暴飲もまたアジア旅の魅力のひとつで、日によっては酒代が宿代を上回るといった不可思議な気分を味わえる。3ドルの部屋に泊まり3ドルのビールを飲みながら、節約旅行とは何ぞやとか。
 
 昼間から蓄積されたアルコールのせいもあり泥酔に近かったので、レストランでのことは僅かしか憶えていない。唯一記憶にあるのは店内を流れるBGMにドゥービーブラザースをリクエストしたら従業員の女の子には意図が通じず、馴染み客風の白人の男が間に入ってくれたが、やっぱりなかったことだ。ビージーズが流れていたので客層に合わせた店のコレクションにはあると思ったが、意外と言うか当てが外れた。
 
 しかし夜食を終え宿に戻り、「第二戦」を終え身震いシャワーを浴びたあとのことは鮮明に憶えている。実際に泥酔も飛んでいくような予想もしなかった展開で、ある意味初体験だった(この先は内容がアレです)。


 
 濡れた身体を拭きながら足踏みするように両足をバタバタさせて、彼女が何か言った。単純に寒いからだと思ったが、その飛び跳ね方が尋常ではない。そして顔をしかめ股間を指し、痛いといった素振りを見せた。
 
 よく分からん。醒めた目で見ながら如何にもアクトレスという感じがしたが、そうはいっても痛みが本当だったら大変なことだ。痛いところを衝いてきたなと思わなくもなく、君はストロングではなかったのかと言いたくもなかったが(冗談ですよ)、しかし股間が痛いって何だ?
 
 そして予想通り、「帰りたい・・・」という展開になった。これはもう仕方がないことだ。代わりに別の女性を選べばいいとも言うが、新たに料金が発生するのは目に見えている。それにこっちはストロングじゃないし。さようなら。
 
img439.jpg
Krong Koh Kong/Cambodia 2007
 
 翌朝食い扶持を求めて颯爽と現れたカムリに昨夜の顛末を話すと、この小太り野郎は大笑いして言った。「はじめに全額を払ったからだよ!」
 
 何だそれ? 聞けば彼が言うには、オールナイトの場合は最初に半分の額を払い、残りは次の日の朝に、直接女に渡せば間違いないとのことだった。
 
 これは初めて知った。「だったら最初っから言えよ・・・」と思わなくもなかったが、しかしタイやカンボジアも含めて、これまで数え切れないくらいオールナイトを経験してきたが、帰り際のチップなどは別として全額前払いし(バーやストリートなどの場合は別)、それで問題が起きた記憶はない。置屋での分割払いというのは初めて聞いた。
 
 嘗て90年代の初めにチェンライにいた頃に聞いた話だが、ある初老の日本人男性がゴーゴーバーから女を連れ出したそうな。前払いしたらしいが、ところが深夜零時を過ぎた途端に日付が変わったとかで、女からもう一晩分の料金を要求された。日本人らしく律儀な男性は払ったが、その話を聞いて腹が捩れるほどに笑った記憶がある。これも分割払いにしていたら防げたということか。
 
 どちらにしても人のことは嗤えない。その報いが、まさか15年後に自分に降りかかってくるとは思いもよらなかった。決して推奨するわけではないが、連れ出しに於ける分割払いというのも、一種の適正防御として留保したほうがよいかもしれない。
 
「よし。今夜は別の所へ行くとして、今日はタタイに行くんだよ」と当然のようにカムリが言った。もうすっかり僕のガイドになったようだ。ケツの毛も毟られるような蟻地獄に嵌ってゆくマゾヒスティックを感じと自棄も、非日常を味わう旅の醍醐味といえる。「どっちにしても安いんだし・・・」という言い訳とともに。与えられた旅の一日が始まった。
 
 まだココンの話は終わりません。
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