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 懐かしいというほどの時間が経ったわけではないが、2007年に十年ぶりとなったプノンペンで泊まったのが、このTATゲストハウス。案内された部屋は綺麗で、ホットシャワーにトイレ付き、更にはテレビまで付いていて5ドルだった。更に驚いたのがテレビにNHKが映ったことだった。日本でなら天地が引っくり返っても見ないような番組を、しげしげと眺めた記憶がある。

 シャワーの後ベッドに胡坐になり、呆然とテレビに見入りながら、これで本当に5ドルかと不思議な感覚に包まれた。プノンペンの安宿のコストパフォーマンスは、バンコクより確実に高いと確信した。

 宿は三階建てで、一階には車庫?と雑貨店があり、二階は10くらいの客室で、三階はレストランと帳場になっていた。このレストランには長椅子やパソコンなども置かれ、旅行者の寛ぎの場となっていた。宿泊客は圧倒的に白人が多かったが、若い韓国人もいたと思う。それほど長くいたわけではないが、ここで日本人を見かけることはなかった。

 宿そのものは良かったが、立地がいいとは言い難かった。勿論バンコクのような都会に比べれば何でもないことだが、今やバスターミナルとなったキャピトルやオルセー市場には、北に10分くらい歩かなければならなかったし、ワットプノムや王宮などプノンペンの見所は、概ね市の中心から北東に点在していることもあった。ただ南にあるトゥールスレンだけは、少なくともキャピトルから歩くよりは幾分近いという感じだった。

 加えて街灯などが殆どない夜の路地の暗さも気になった。明るい時間に宿に帰れば問題ないが、原則としてゲストハウスのレストランを利用しない僕としては(割高とか、味が西洋人向けにアレンジされているなどが理由ですが、例外は多々あります)、夕食を摂るために夜道を出歩くのが、治安の問題も含めて億劫になることがあった。とはいえその立地条件ゆえに、夜の騒音などに悩まされることはなかったように思う。

 その一年後の2008年の6月に再びプノンペンに来て、この宿に泊まった。しかし以前泊まった部屋が8だか10ドルだか言われたので、あれは一夜の夢だったのかと一番安かった3ドルの部屋に投宿した。勿論水シャワーとトイレは共同だったが清潔で、元々こういう環境で旅をしてきた僕には十分だった。ただ窓はあったものの部屋は薄暗かったので、寝る時以外に宿にいる時は、何時も外気に面した踊り場にあった椅子に腰掛け、読書と浮いた金で買ったビールの時間を過ごした。

 このテラスのような場所は少し狭かったが、僕がこの宿で最も気に入った空間だった。同宿の旅行者と知り合うにも都合のいい場所で、そこで会話したフランス人の男女と、一度夕食を摂りに出かけたこともあった。
 
 この二回目のTATで面白かったのはチェックインだった。部屋に荷を置き帳場に行くと、若い男の従業員が立ったままパソコンを操作し、「どうぞ」といった感じで画面を指した。パスポートとディスプレイを交互に見ながらチェックインの手続きをする光景は安宿でも普通だが、自分で入力したのは初めてだった。「客に任せて大丈夫なのか・・・」と訝りながら、エクセルをベースに作成されたと思われるシートに入力しているうちに、若い男は何処かに行ってしまった。

 進化するインフラと、それを使う人の意識が今ひとつアンバランスなのも、この国の面白さだろうかと思った。もっとも昔は自分で宿帳に記入することは珍しくはなかったので、それがパソコンに変わっただけかもしれないが。

 一番安い部屋に泊まり、一度もレストランで食事を摂らなかったこともあり少し気兼ねしたが、宿の人達は愛想が良く親切だった。ここで次に行くベトナムのビザを頼んだが、当たり前だが問題なく取得できた。ただ興味深かったのは、3日後くらいに帰って来たパスポートに押されていた査証の発行地が、プノンペンではなくシアヌークヴィルだったことだ。

 僕のパスポートはシアヌークヴィルまで旅行したのだろうか。僕が行ったことがないシアヌークヴィルにパスポートだけが行ったことを想像して、可笑しさが込み上げてきた。

TATゲストハウスに興味のある方はどうぞ/www.travelfish.org/accommodation_profile/cambodia/phnom_penh_and_surrounds/phnom_penh/phnom_penh/all/418
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ここのところ私事多忙にて更新が滞っています。
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