忍者ブログ
[1]  [2]  [3]  [4]  [5]  [6]  [7
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 
 先日ミャンマー/ビルマの呼称について書いたが、少し気になったので調べてみると、予想を裏切らず色々な人が取り上げていた※。このうちミャンマーに拘る人は全くいなかったが、ビルマという呼称に固執する人が圧倒的に多かった。もちろん全てのサイトに目を通したわけではないが、ミャンマーという呼称を認めない理由は、大雑把に言って以下に尽きるとみていい。
 
軍事政権が一方的に決めたから(国民の合意を得ていない)
 
 こう言っては何だが戦国時代の段階にあるような国に対して、現代の日本の尺度を当てはめて論じる姿勢に笑ってしまうが、今日は気兼ねなくミャンマーと呼ぶためには、何をどう乗り越えるかといった話です(因みに過去記事でも書いたが、変更されたのは英語呼称つまり対外呼称だけで、ビルマ語での呼び方は変わっていない。そのビルマ語での呼び名は、ずばりミャンマーです)。



  単純にこう捉えるのはどうですかね。
 
ミャンマー人 : シャン族やカレン族やカチン族など、ビルマ族を含めた国内に居住する全民族。つまり国籍呼称として用いる。
 
ビルマ人 : ビルマ族だけ。言うまでもなく人種呼称。これを国籍呼称として用いるのは、多民族国家に対する呼称として適当ではない。
 
 これですっきりしますね。これで悩むことなく抵抗感なく心おきなくミャンマー人という呼称を使うことが出来ると思うが、どうですかね。
 
 いくらなんでもカレン族に対してビルマ人と呼ぶわけにはいかないし、これはビルマ族以外の全民族に対しても同じでしょう? 個人サイトで、「私の友達のビルマ人はビルマと呼んでいます」といった文を目にしたが、「私の友達」が何族なのか気になってしまう。ビルマ族が言うなら理解できるが、カレンや他の民族もビルマという呼称に拘りがあるのだろうか。
 
 またタイなどにある難民キャンプを取材しているジャーナリストのサイトでも、「彼らはバーマと呼んでいる」といった例を根拠に、「ビルマ」という号に弾みをつけている方がいるが、これも、「私の友達」と同じで何族なのか気になる。可能性から言えばカレンだと思うが、この場合は彼らが言うバーマが、「一 国土全体を指すのか」、「二 カレン州を除いた国土を指すのか」、「三 あるいは単に自分が生まれ育った村(普通はカレン州だと思うが)を指すのか」が分からない。
 
 ジャーナリストならもう少し詳しく書いてよと言っても始まらないので、分からないから想像で言うしかないが、一だとしたらバーマからの独立を願うカレン族が、カレン州に対してもバーマという呼称を用いていることになる。二は筋が通っているが、これは多分ない。三の本質は一と同じだが、外国人に村の名前を言ったところで分からないだろうから、一般的に知られている地域呼称として、「バーマの方から来た」みたいな感じで使っているのだと思う。
 
 こう言っては何だが難民の大方は、個人差はあるとは思うが格段の政治思想はなく、もう少し言えば際立つ教養もない普通の人達だと思う。その彼らがバーマと呼んでいるという事実をもって、国連が認めたミャンマーという呼称に抗うのは無理がある。
 
 それと意外だったのが、当のジャーナリスト本人が言うビルマ人が、国籍呼称なのか人種呼称の意味で使っているのかが分からなかった。人種を指すならいいが国籍呼称だとしたら、論理上は全ての少数民族に対してもビルマ人と言っていることになる。
 
 順序が逆になってしまったが、最後に国名について
 
ミャンマー : 現在の国名として用いる。ミャンマー、ミャンマー連邦など。
         古代や中世を含めた、この地域の歴史を扱う場合に用いる。ミャンマー史など。
 
ビルマ : 現在の国名として用いないが、日本でそう呼び始めた時期から変更直前までなら問題なし。ビルマ、ビルマ連邦など。
       通史的な意味では用いないが、日本でそう呼び始めた時期から変更直前までなら問題なし。ビルマ連邦史など。尚この範囲に限ってならビルマ史でもいいが、古代が含まれていると誤解される怖れがある。これに限らず通史を扱う場合は、現在の国名や地名を用いるのが妥当。つまり日本の歴史には日本という国号が無かった縄文時代も含まれるが、縄文時代の歴史には、それ以降の歴史が含まれないのと同じ。
 
 すっきりしませんかね。まだ乗り越えられない? ならこれで行きましょう。
 
現在のミャンマー政府は江戸幕府である : 江戸幕府って軍政ですよね? 別に鎌倉でも室町でもいいが、日本の何とか幕府って全て軍政ですよね? もちろん抑圧された人々は多数いたらしいが、町民文化とか百姓の祭りとかあったんでしょう? つまりそういう段階にあるんですよ、あの国は。



 欧米には行ったことがないので分からないが、若い頃にアジアやアフリカを旅して肌で感じたことは、一言で言えば、「時間は等しく流れない」。昔あったCMではないが、「世界は一家」ではないし、「人類みな兄弟」でもないし、もっと言えば、「世界は一つではない」ということでしたね。
 
 ビルマという呼称に拘るのは個人の自由だが、「自分や自国の価値基準を他所の国に押し付けてはいないか」ということを、今一度冷静になって考えてみるのも時間の無駄ではないと思う。それでも自分が正しいと思うなら全く問題ないので、その姿勢を貫き通せばいいし尊重するが、「軍政アレルギーだけじゃなあ・・・」というのが、各サイトに目を通した率直な感想でした。

※ 「ミャンマー ビルマ 呼称」で検索すればいくつか出てきます。興味のある方はどうぞ。
PR
プロフィール
HN:
lovelylifeorhell
性別:
男性
趣味:
旅と酒と読書
自己紹介:
ここのところ私事多忙にて更新が滞っています。
忘れたわけではありませんので、まったりとお待ちください。
ブログ内検索
アクセス解析
忍者アナライズ
忍者ブログ [PR]