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 2005年の10月に中国の鳳凰という街に行った時に、コキントウさんがやって来た※。苗族(ミャオぞく)のガイドの中年女性に連れられ郊外の名所を訪ねた時のことで、帰りのバスに乗ったものの、全ての車両は公安の指示で道の脇に待機となった。とはいえ初め交通規制の意味が分からなかったのでガイドに訊くと、「あなた知らないの?」と呆れた調子で説明してくれた。そして何度も聞き返し漸く理解できたのが、フーチンタオ国家主席御一行が間もなく通過するということだった。

 コキントウは知っていたが、フーチンタオは知らなかった。胡錦濤をフーチンタオと読むのを初めて知った(実際にはフージントンと聴こえました)。



 単純に漢字で表記されているからだと思うが、日本の新聞やテレビでは、中国の人名や地名を日本語で読んでいる。そして同じ理由だと思うが、中国のメディアも日本の人名や地名を中国語で読んでいるようだ。結論から言えば、互いに漢字の知識が仇となったと思わざるえない。互いに自我を通したために、正確な理解から大きく遅れをとったような気がする。

 例えば中国の話題を英語ですることを想像すれば分かりやすい。いくら人名や地名の知識が豊富でも、日本語の読みで覚えたために全く応用できないわけだ。逆も同じで中国人が日本の話題を英語でやろうとしても、人名や地名を中国語の読みで覚えてしまったために、この部分だけは一から学習し直さなければならない。二度手間以外の何物でもない。

 中国側の対応はともかく、僕には中国の人名や地名を日本語読みしなければならない有効な理由が全く見当たらない。胡錦濤(フー・チンタオ)と表記したら、何か不味いことでもあるんだろうか。単に先例に従って、深く考えることなく踏襲しているだけだと思う。それで問題がないのならいいが、僕には問題しかないような気がする。

 日本語読みの最大の欠点は、日本語にない字が出てきた時に現れる。典型的なのが深センで、深は日本語で、センは「つくり」が川なのでセンと奇怪な読み方をしている。さらに奇怪なのが表記で、『深セン(センは土へんに川)』と、「この人いつの時代の生まれか?」と書き手のセンスに目眩がする。まさかピンイン入力が出来る人材が大手メディアにいないとは思わないが、こんなものは『深圳(シェンジェン)』と書けば済むだけである。



  李白(りはく)や杜甫(とほ)、魯迅(ろじん)など歴史上の人物では日本語読みが定着しているが、逆に言えば未来を担う子供達には全く定着していない。ましてや現代中国の政治家の名前など、大人だって知らない人が多い。ならば先入観がないのだから、いっそのこと小中学校の教科書から改めた方が早い気がするが、相手にされませんかね。日本語の読みではない事実さえ認識させれば、大した混乱は起きないと思うが。

※ 2005年の10月28日のことです。貴州省の銅仁から湖南省の鳳凰に向かって、公安のパトカーに先導された2台ほどの黒塗りの乗用車と3台ほどの中型のバスが通り過ぎたのですが、窓にはカーテンが引かれていて、どの車に乗っていたか、あるいはどれにも乗っていなかったのかといったことは確認できませんでした。念のため調べてみましたが、訪問の事実関係は確認できませんでした。ただしガイドが関心なさそうに、「胡錦濤が来るのよ」と言ったことは事実です。
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